目次
リニューアルしたBOATGAMERSSD S76ML FALL & BOTTOM(以下S76ML)。リニューアルはしましたが、以前ラインナップされていたS76 BLACK&FLATとブランクスやガイドなどの基本的な部分に変更はありません。変更になったのは表記やティップに色がついたくらいの違いですので、以前のものをお使いの方は安心してそのままお使いください。
僕の方ではマゴチに使うことがメインになりますが
今更ながらやっぱり非常に使いやすくて良いロッドだなぁと(笑)
改めてリニューアルされたBOATGAMERSSD S76ML FALL & BOTTOMの素晴らしさをお伝えしたいと思います。
マゴチ
釣りがしやすいレングス
まず7フィート6インチという絶妙なレングスです。マゴチ釣りに置いて最も悩ましい現象はバレです。重いジグヘッドで釣りをする都合上どうしてもバレが多い釣りですが、そのバレを長めのレングスが防いでくれます。
単純にですが、ロッドは長ければ長いほどバレは防げます。長ければその分マゴチの引きやヘッドシェイクを吸収するストロークがあることが理由です。だからと言って長ければ長いほど良いという訳ではありません。長すぎると狭い船上で取り回しが悪くなりますし、ルアーの操作をする上でも疲労感が出ます。さらに細かいアクションもつけづらくなります。ランディングも難しくなりますので結果としてバラシを増やしてしまう可能性もあります。ファイト中のバラしを防ぎつつ、取り回しの良さとアクションのつけやすさを両立した最適な長さが7フィート6インチです。
長さは乗合船等の足場が高い船で釣りをする際にも役立ちます。無風の時はいいのですが、やはり風が強い日に当たってしまう時もあります。風が強い日はなるべくロッドを下に構えて風の影響を避けることで釣りがしやすくなります。レングスが短いロッドだと水面まで遠くなってしまい風の影響を避けることができません。レングスが長いロッドの方が足場が高い船でも、ロッドを水面に近づけることができ、快適に釣りをすることができます。
ロッド各部の役割(ティップ)
S76MLは繊細なティップ、魚の引きを吸収するベリー、フッキング&魚を持ち上げるバッド、このロッド各部がきっちりマゴチ釣りに対して最適な仕事をしてくれるロッドです。
まず繊細なティップですが、アタリや着底を目で見るという部分で役に立ちます。マゴチ釣りではもちろん手に来るアタリを感じて釣りをしますが、手でくるアタリだけではなく目で見ないとわからないアタリもあります。
特に風が強い日は手の感度が著しく下がります。着底でさえ手では分からず目で見て着底をティップで判断する時もあるほどです。この目で見て着底やアタリを判断する際に繊細なティップが役立ちます。わずかな変化をティップで表現してくれるためです。さらに今回リニューアルした蛍光イエローの着色でティップがより見やすくなりました。目でハッキリと着底とアタリを見て判断ができるのでどんな状況でも釣果が格段にアップします。
ロッド各部の役割(ベリー)
ベリーの役割は主にマゴチの引きの吸収です。60センチを超えると走る引き方もしますが、基本的にマゴチの引き方はヘッドシェイクです。このヘッドシェイクを柔軟なベリーがしっかり吸収してバレを防ぎます。
また、フッキングの際にもこのベリー部が役立っていると思っています。マゴチをバラさないフッキングは、リールを巻いてティップから徐々にロッドを曲げていき、最後にバッドで針を刺すフッキングです。この徐々に曲げていくということが非常に重要で、いきなりパワーとスピードに任せてフッキングすると、だいたいバレます。
ロッドを徐々に曲げるというのは、ジグヘッドのヘッド部分を口から出す作業だと思っています。口から出さないでバシッといきなりフッキングすると、口を閉じているマゴチの口の中にジグヘッドのヘッド部分が引っかかっているだけでフックが刺さっていないので、2、3秒ファイトして口を開けた瞬間にバレてしまいます。
このジグヘッドを口から出してくる作業にベリー部分が一役買っています。S76MLはティップ部からベリーまでスムーズに澱みなく曲がってくれます。テンションを無段階で徐々に強くかける事が出来るのでジグヘッドをマゴチの口から出してくることが出来、決してアタリが多くないマゴチのバイトを確実にフックアップまで導きます。
ロッド各部の役割(バッド)
ジグヘッドを口から出してたら最終的にはバッドで針を顎に貫きます。バッドにパワーがないとやはり硬い上顎に針を貫くことは不可能です。A76MLの繊細なティップと相反してがっちりとした強いバッドは、硬い上顎を貫くフッキングに必要不可欠なパワーを備えています
また、マゴチを底から引き剥がすパワーもバッド部で担っています。
楽しむという部分を省けばファイト時間は短いに越したことはありません。マゴチの顎は表面上は硬いのですが実はもろいという側面もあります。フックが貫通してしまうと、もろいのでファイト中にドンドンと針穴が広がっていきます。これがマゴチがバレやすい魚という一つの要因だと思っています。
針穴が広がる前に、バッドパワーでしっかりと魚を浮かせて、短時間勝負でネットインすることでキャッチ率を最大限に引き上げることができます。マゴチ釣りにおいてバッドパワーはキャッチ率を上げる為に必要不可欠な要素です。
小さいガイド系がもたららす感度
S76MLはガイド径が他のボートゲーマーシリーズに比べて小さめのガイド径です。これはクロダイの落とし込み釣りの際にガイドの抵抗を使って飛距離の調整をする為なのですが、この小さいガイドもマゴチ釣りでも生きてきます。
S76MLはガイドが小さいので糸がバタつかず手感度が非常に良いです。マゴチ釣りはアタリを感じることはもちろんですが、着底感が命の釣りです。慣れてくると着底のトンという具合で釣れそうとか釣れなさそう、潮が効いてる効いてないなども判断できるようになります。つまり感度がいいと釣果がUPするということです。もちろん着底感という繊細な部分が感じられるということは、魚のアタリを感じることは余裕です。
また小さいガイドは風が吹いてもラインがバタつきにくいので、風が吹いている時でも釣りがしやすくなります。これはガイド船はもちろんのこと、風の影響を受けやすい足場の高い乗合船等で特に生きてくるメリットです。
しかしガイドが小さいことでのデメリットもあります。ガイドが大きいロッドに比べて飛距離が多少落ちるという点です。ただこのデメリットは重いジグヘッドを使用するマゴチ釣りでは正直ほぼ感じることはなく、ミノーなどの軽いプラグを投げると感じます。マゴチ釣りで使う分にはデメリットはないということです。
クロダイ
本来はクロダイ落とし込み専用ロッド
S76MLは本来クロダイの落とし込み釣り専用ロッドです。それがマゴチ釣りに使ったら調子が良かったというだけなので、基本的には落とし込み釣りに照準を合わせたロッドとなります。
正確なキャストを生むティップとガイド
繊細なティップはまず、キャスティング時のルアーの重さを感じる為に役立ちます。クロダイの落とし込み釣りはキャスティングが命の釣りです。ストラクチャーへの正確なキャストが釣果を出す上で最も重要な要素で、正確なキャストができなければ落とし込み釣りは成立しないとハッキリ言い切れるほど重要な要素がキャストの正確性です。
このキャストですが、S76MLの繊細なティップと小さいガイドが正確なキャストを実現しています。まずティップ部ですが、使用するルアーであるジョイントキャンディは非常に軽量なルアーで14ミリの丸型だと約1.4g、ガン玉と合わせても4gほどしか重さがありません。
この軽量なルアーを正確にキャストするには、ティップ部に重さを乗せる感覚、つまり若干の曲がりが必要になってきます。これは理論ではなくやればわかります。曲がらないと正確なキャストができないのです。ピッチングですのでもちろん曲げて弾いて飛ばすという意味ではなくてです。重さが手にくるティップの曲がり、これが正確なキャストを生み出します。
若干の曲がりが出ることで正確なキャストができるようになるのですが、もちろん百発百中で狙ったところにいく訳はありません。投げた後に調整が必要です。この調整が小さめのガイドの役割です。S76MLのガイドは普通のキャスティングロッドよりも一回り小さいガイドが付けられています。このガイドの抵抗でキャストの飛び過ぎを調整します。
フェザリングで調整するのが通常のキャスティングですが、フェザリングで調整するとルアーが軽すぎる為に調整ではなく急ブレーキになってしまいます。これをガイドの抵抗感を使って、ロッドを煽るようにしてブレーキをかけるのが落とし込みの時のキャスティングの調整の仕方です。ガイドが小さくないと、抵抗がなく飛びすぎてしまって正確なキャストができないのです。
また、小さいガイドはラインがバタつかないので風がある状況にも対応することが出来ます。軽いルアーを使用する釣りなので風は本当に大敵なのですが、風の影響を最小限にしてくれます。
掛けるティップと耐えるベリーと剥がすバッド
ティップ部は針をかける際にも仕事をします。針をかける、イコールフッキングということですが、バッドでフックアップする前に針を口周りに立てる必要があります。これがティップの仕事です。アタリがあったらクルっとまずリールを巻いて、軽くティップを曲げます。この作業が針を立てる作業です。
このティップを少し曲げて針を立てるということをしないといざロッドで煽ってフッキングをしてもすっぽ抜ける、もしくは歯の硬いところに針が乗ってしまいフッキングの成功率が著しく下がります。このフッキング率を上げるための針を立てる作業を繊細なティップが仕事をしてくれます。
落とし込み釣りはアタリ自体はラインの変化で取る釣りです。しかし、ラインの変化がわからない、もしくはラインに変化が出ないアタリも多々あります。
その為、ルアーを回収する際にクロダイがルアーを咥えていないか聞いてから回収するようにします。この聞く作業の際に、ティップが魚の重さを感じると同時に針をクロダイの口に立ててくれる仕事もします。
また、ファイト中はベリー部分がクロダイの強烈な引きをしっかりと受け止めつつ口切れを防ぐサスペンションの役割をし、バッド部分でストラクチャーから離れたがらないクロダイを引き剥がします。釣り自体は繊細な釣りですが引き自体は強烈なクロダイですので、繊細さとは相反するパワーがベリーからバッド部には求められます。S76MLはその両方を備えたロッドです。
チニングにも使える
落とし込みのみならずフリーリグをメインとしたチニングにもS76MLはジャストフィットです。ボトムゲームであるマゴチ釣りと、クロダイを掛け合わせた釣りですので、S76MLが不得意なはずがありません。
個人的にはチニングに使用するPEラインは0.8号もしくは1号がオススメです。またフロロカーボンのリーダーを使用する場合は、スピニングだとロングリーダーは絡みやすいので1m程度の長さで使用すると快適に釣りができます。
ソリッドティップ仕様のロッドが多いチニングロッドの中でチューブラータイプのS76MLはボトムの感度が非常に良い為、ボトムのゴトゴト感がクリアに感じられます。また魚のアタリもダイレクトですので、チニングでチューブラータイプの感度をチニングロッドにお求めの方にぴったりのロッドです。
クロダイ、マゴチのマルチロッド
クロダイの落とし込みのスペシャルロッドであるS76ML。このロッドでしか獲れない魚がいると断言できる程のスペシャルロッドです。クロダイの落とし込み釣りを始める方は、専用ロッドは世の中にこのロッドしか選択肢はないので、必ずS76ML FALL & BOTTOMをセレクトして欲しいと思います。
また副産物ではありますが、マゴチやチニングにも抜群に相性が良いロッドでもあります。ブリームゲームとフラットフィッシュゲームに対応するスペシャルなマルチロッドS76ML FALL & BOTTOM。ベイエリアの釣りを楽しむ為に必須の一本です。