バーブレスフックの作り方
今回は【バーブレスフック】についてです。
僕の勤め先であるアイランドクルーズでは、バーブレスフックの使用をお願いしています。
http://www.owner.co.jp/search/754/
最初からバーブがないバーブレスモデルのフックを使うのが一番なんですが、やはり使いたいフックにバーブレスモデルがない場合や、純正のモノをそのまま使う場合もありますので、その場合はバーブ(かえし)をペンチでつぶして使って頂くようにお願いしています。
意外と皆さん知らないバーブの潰し方ですが
ペンチのこの部分(赤丸)の部分を使用します。付け根の方の平らなところです。ペンチの先で潰すと力が入りきらずにきれいに潰れません。
ちなみに
こういう感じのやつだと全然力が入らなくてつぶれません。ステンレス製のごっついやつがおススメです。
知ってるところだとtailwalkさんから出てる、【SPRIT RING PLIER】がおススメです。ごっついから力が入ってきれいにつぶれます。
僕はイチカワフィッシングさんからサポートしていただいているので、イチカワフィッシングさんのフックKAMAKIRI TREBLE 86XSでバーブをつぶしてみます。イチカワフィッシングさんではバーブレスフックは出ていませんが、86XSはバーブがきれいにつぶれてくれるフックです。フックによっては潰そうとするとかえしが折れてしまって結局引っかかりが残ってしまうフックもあります。写真はそのままの状態です。バーブがあります。
それを
こんな感じでペンチの付け根でつぶします。
そうすると
キレイにつぶれます。
これがペンチのさきでつぶすと
ちょっとブログの写真の解像度では確認が難しいかもですが、きれいに潰れません。この写真はそれでも潰れている方ですが、他のフックだと全然潰れないフックもあります。
バーブ付きフックがささったエピソードと必要性
では何のためにバーブレスフックが必要か。HPにも書いてある通り、これはもう偏に安全の為。これしかありません。
バーブが付いているフックが刺さった経験がありますか?僕は自分自身はありませんが、何回もバーブが潰れていないフックが刺さってしまった人のフックは抜いた経験があります。
一つ目のケースは、キハダ・カツオキャスティングの乗合船に乗っている時です。今のように仕事で釣りをする前の話で、その船がバーブレスルールだったかも忘れました。加えて、何で刺さったのかも正直覚えていませんが、刺さったのは手の甲側の親指と人差し指の間の柔らかいところです。隣の人が抜いてくれとペンチと手を差し出してきたのですが、抜けないし全く動きません。手を足で踏んで両手でペンチを使って抜こうとしても無理です。全然動かない。結局抜けなくて、その方は1日船の上で何もできずにただ帰港を待つだけの一日になりました。午前中に刺さって帰ったのは17時過ぎ。その後どうしたのかは知りませんが、救急病院で切開以外に選択肢はないと思います。
二つ目のケースはメバル便です。(仕事中)その方はメバルプラグのバーブをつぶしていませんでした。もちろん出船前にお願いはしているのですが。ロッドの硬さに対して重すぎるプラグを使っていた為か、オーバーヘッドキャストで自分の頭を釣ってしまったのです。しかも2回。1回目は船上で外すことが出来ました。外した時に再度バーブを潰すようお願いしたのですが、結局潰していなかったようです。2回目に引っかかった時はは無理でした。同じく自分のキャストで自分の頭を釣りました。
釣りの途中でしたが、明るいところで安定した場所でないと抜けないと判断し帰港しました。夜便だし、頭でしたので髪の毛が邪魔でよく見えないのです。帰る途中、震えながら顔が真っ青になっている場面が今でも思い出されます。結局針の頭を出して針を切って抜くという手法をとったのですが、まずはルアーを外さないといけませんし、その間も痛がっています。何より針の頭を出す時がとにかく痛そうで、やってみるとわかりますが頭皮ってとにかく硬くて貫通しないんです。イメージでいうと下敷きみたいな硬さです。それでもやらないと抜けないので、頭を出してペンチでフックを切ってやっと抜けました。どの動作にしても動くたびに痛かったと思います。当たり前ですが。
僕の経験以外にもバーブ付きのフックが目に刺さって手術→入院という例もあります。刺されるのもそうですが、刺してしまったときのことも考えると怖くてしょうがないですね。
もちろん偏光グラスをかける、帽子をかぶるなどの安全対策も必要ではあります。でもまずはバーブがなければ万が一刺さっても、刺してしまっても大事故にはなりにくいです。大事故にならないという事は刺す側、刺される側、両方にとってメリットです。(こういう分け方もどうかと思いますが)
万が一フックが刺さってもバーブレスなら傷も最小限で済みますし、ごめんで済むこともあるでしょう、特に仲間内であれば。これがバーブがついていて病院に行って抜いてもらったとなれば、ごめんで済まなくなってきます。特に乗合などで知らない人に刺してしまった場合は大きな問題になりかねません。最悪治療費や慰謝料などお金の問題にもなってくる場合もないとは言えません。これについては個人間の話になってくるので何とも言えませんが・・・
そうならないためのバーブレスフックでもあります。刺さった時の身を守る為でもあり、刺してしまったときの身を守る為でもあるのです。近頃では賠償責任保障のある釣り保険などもあります。もちろんそういったものに入っておく安心はありますが、だからと言ってバーブを付けていい理由にはなりません。そういう問題ではないですよね?
とにかく、お互いの安全を守るためにバーブレスフックは必要不可欠なんです。身体的なことはもちろんですが、大げさかもしれませんがお互いの生活を守るためにもバーブレスフックが必要だと考えて良いと思います。単純に遊びに来てるわけですから、事故があったらつまらなくなるじゃん?っていうそんなカジュアルな考えでもいいと思います。ひとまずアイランドクルーズではバーブレスフックの使用をお願いしています。会社としてではなく、あくまで僕個人が考えるバーブレスフックの必要性の背景を今回はお伝えしました。
バーブレスフックのメリット
バーブレスフックは釣りに対してもメリットがあります。
まずはこちらをご覧ください。オーナーさんのバーブレストレブルフック【STBL-41TN スティンガートリプルフック】の説明文です。注目してほしいところは
『瞬間的にフトコロまで貫通するその優位性は、タックルバランスによっては、結果として一層バラシを防止することにもつながります。』
この部分です。要約すると、【フックが魚に貫通するからバレにくい】となります。
まず魚をバラさないようにする為に一番必要なことは何か。必要なのはバーブではありません。オーナーさんの説明文を引用すると『フトコロまで貫通する』この部分です。フトコロまで貫通すればバレにくいのです。というかフトコロまで貫通してちゃんとしたファイトが出来れば理論上はバレないはずです。
分かりやすい写真がシーバスでは見つけられなかったので、申し訳ありませんがイナダの写真で。
フロントのフックがフトコロまで貫通しているのがわかりますか?
ちなみにフトコロとは
ここら辺のことを言います(と思ってます)
ここまで貫通していれば、すでにバーブの部分は魚に触れていないのがお分かりいただけますか?そうなんです。貫通していればバーブなんてものに頼らずともバレは防げるんです。でもそれはちゃんとしたファイトが出来ればの話なんですが、それはまたあとでお話しします。
で、貫通していればバレない訳なんですが、逆に言うと貫通してないとバレます。貫通していないという事は、要するに針先が身の上に乗っかっているだけの状態のことを指します。そりゃバレますよね。
バーブレスフックの方が貫通しやすいのはなぜか?それは
角度が少しずれてしまいましたが、矢印部分の太さが違うのがわかりますか?バーブがあることでバーブ自体が抵抗になり、魚に針が刺さることを邪魔してしまっているのです。
またオーナーさんの説明文を引用しますが
『軸径はミディアムヘビーなのに、その貫通感覚はバーブのあるファインワイヤー仕様と同等クラス。』
この部分です。ちなみに、オーナーさんの説明文を多く引用するのは、僕が言うよりも信用度があるかなと思ってるかなと思ってるだけです。
要するにバーブがなければ、1ランク細い針並みに刺さりますよってことですよね。
今回の話を総合すると
①バレるバレないはバーブのあるなしではなく、針を魚に貫通出来るか出来ないか。
②バーブレスフックの方が、刺さるときにバーブが邪魔しないので針を貫通させやすい。
となります。ほら!バレない気がしてきませんか!?というかむしろバーブが邪魔になるってことはバーブ付きの方が針が刺しきれずにバレている可能性の方が高いかもしれないという事実。バーブレスフックの方釣果面でのメリットも大きいです。
でもこれ実は先にもお話しした通り、ちゃんとしたファイトが出来ればっていう条件付きなんです。
バーブレスフックのファイト
まずはこちらをご覧ください!
だいぶ前の動画ですが・・・。
見てほしいのは遠藤社長、シゲさん共に魚が掛かってからのフッキングからのロッドの曲がり!!そしてドラグの音!!
針が貫通すれば魚はバレないという事を書きました。でもちゃんとしたファイトが出来ればという条件付きでという事もお伝えしました。
そのちゃんとしたファイトというのが動画のようなファイトです。ちゃんとしたファイトとは何か?それは
『ロッドが曲がり続けているか』
この部分です。
ポンピングという名前のファイトのテクニックをご存じでしょうか?ロッドを立ててきて、立てた分を巻き取りながらロッドを倒して、また再度ロッドを立てるというテクニックですが、名前は知らずともほとんどの方はこのファイトの方法で魚とやり取りをしていると思います。ですがこのポンピング、ほとんどの方が正しい方法でポンピングをしていません。
動作としては間違っていないのですが重要な部分が間違っています。それが『ロッドが曲がり続けているか』この部分です。悪い例の動画ってなかなか見つからないし、出しづらいのでどうしたらいいかを良い例で解説します。
まずはロッドを立ててきた場面。ここからロッドを下げながらリールを巻きます。
下げる途中の場面。まだしっかりロッドが曲がってますね。この部分でかなりの方がロッドが真っ直ぐになってしまいます。真っ直ぐになる理由はリールを巻かないから。バリバリ巻きながらロッドを下げて、しっかり曲がった状態をキープしたままロッドを下げます。下げてから巻くんじゃなくて巻きながら下げる事!!←ここ重要
最後下げ切った部分。画面から切れてしまってますが、しっかり曲がっていることがわかります。ここからまたロッドをあげてきて、また巻きながら下げての繰り返しがポンピングです。
このように最初から最後までロッドを曲げきることが必要になります。曲げないとバレます。なぜ曲げないとバレるか。ロッドが曲がっていない=テンションがかかっていないという事だからです。
テンションがかかっていないとなぜバレるのでしょう?前回のブログで針がフトコロまで貫通すればバレないとお伝えしました。フトコロまで貫通すればバレないのですが、それは魚がかかっている間中フトコロで魚をキープできていればの話です。フトコロで魚をキープする、それがテンションをかけ続けるファイトが出来ているという事です。
テンションがかかっていればこの写真のように、針のフトコロで身を保持できます。これが緩むとルアーが暴れて針が抜けてバレます。(この写真のように口にすっぽり入ると仮にテンションが抜けてもバレなさそうですが)バーブレスフックでもちゃんとしたファイトが出来ればバレないのメカニズムは
①バーブがないことで針のフトコロまで身が貫通しやすい
②テンションをかけ続けるファイトをすることで、針のフトコロで魚を保持し続ける為バレない
こういったメカニズムです。
もちろんこれでもバレゼロにはできません。例えば身切れ。フトコロで保持していた魚の身自体が切れてしまう事でバレてしまう現象です。これを防ぐにはドラグを使うしかありません。動画でもドラグの音がしていたと思いますが、ドラグを使う事で身に無理なテンションがかからず、身切れを防ぐことが出来ます。(これでも0にはできませんが)
ドラグフルロックでは身が切れます。もしくは糸が切れますのでフルロックのメリットは何もありません。バレたらすごい勢いでルアーが飛んでくるので危ないですし。
またバーブレスに対してレバーブレーキの意味もありません。テンション抜いたらバレますので。
他にバレる原因のトップとなるエラ洗いですが、エラ洗いでバレる原因はバーブあるなしの問題ではなく、別の対処法が必要になってくると思うので今回は割愛させていただきます。(それについては、次回以降にお伝えします)ひとまずバーブレスフックを使う事で安全でしかもテンションをかけ続けるファイトを身につけることでバレずに、むしろ獲れる魚が増えるようになります!
他の船や釣り場でのことまで強制はできませんが、ひとまずアイランドクルーズではバーブレスフックの使用をお願いしています。バーブレスフックいやだなぁと思うのではなく、バーブレスの方が釣れるじゃん!と思うようになって欲しいと思いながながら書いてみました。今までもこれからもバーブレスフックの使用をお願いします!!